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親から借りていたお金は、親が亡くなっただけで全額が返済不要になるわけではありません。まず貸付けか贈与か、残額はいくらかを資料で確かめます。貸金債権の承継と遺産分割は分けて検討し、他の相続人への返済や合意による精算の方法を整理しましょう。
住宅の購入や事業資金のために親から借りたお金が残ったまま、相続が始まることがあります。「自分も相続人だから返さなくてよい」「受け取る遺産から引けば終わり」とは限りません。この記事では、親に対する借入れがある子の立場から、貸付金の確認、権利の承継、話合いの記録を整理します。
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相続で弁護士・税理士・司法書士が担う役割を紹介する補足動画です。この記事の個別の贈与・貸付け・費用負担の判断は本文をご確認ください。税の申告期限には個別の起算条件があり、相続登記の過料は刑罰ではありません。

貸付けはお金を返す約束を伴う取引で、贈与は無償で与えることについての合意です。振込があった事実だけでどちらかは決まりません。借用書、送金時の連絡、返済予定、実際の返済を見て、当時何を約束したかを確認します。家族の記憶が食い違う場合も、資料のない部分を推測で埋めないようにしましょう。
借用書がないことだけで、必ず贈与だったとはいえません。振込明細やメッセージに返済の話がないか、毎月の送金が借入れの返済だったのかを整理します。反対に、借用書という表題があるだけで、記載額の全てが現に貸し付けられたと決まるわけでもありません。原本と資金移動を対応させることが大切です。
親の預金からの出金と自分の入金を一組で確認し、生活費、立替金の返金、別の借入れが混ざっていないかも調べます。事実と推測を分ける資料整理の考え方は、次の預金調査の記事でも紹介しています。


返済を受ける権利である貸金債権は、親の財産です。一般の貸金のような可分債権は、原則として相続開始時に相続分に応じて分かれて承継されます。銀行の預貯金を遺産分割する場面と同じように扱わず、遺言、相続人、債権の内容を確認してください。全員の同意があれば、分割の話合いに含めて整理する方法も検討できます。
借主本人が債権の一部を承継すると、その範囲では債権と債務が同じ人に帰する「混同」が問題になります。ただし、第三者の権利がある場合など例外もあります。他の相続人が承継した部分まで、借主が相続人になったという理由だけで消えるものではありません。相続分や担保の状況を確認して計算します。
例えば子が複数いて一人だけが借主である場合、返済先を誰か一人に決めて支払っても、他の承継者との問題が残るおそれがあります。誰が、どの範囲の債権を持ち、受領する権限があるのかを確認してから返済方法を決めましょう。

当初の貸付額だけでなく、追加の貸付け、返済、利息の約束、債務免除の有無を整理します。「もう返さなくてよいと言われた」という場合は、いつ、どの債務について、誰が何を伝えたかを確認します。親の死亡で残額が自動確定するわけではなく、当事者の合意やその後の履行が重要です。
複数回の貸付けは、一括の残額だけでなく取引別の経過も残しましょう。
日付、借入額、返済額、資料名、未確認事項を並べた表を作ると、認識の違いを見つけやすくなります。現金で返した分は、領収書や当時の連絡なども探します。資料がない返済を当然にゼロとしたり、口頭の説明だけで全額返済済みとしたりせず、争いのある欄を明示しましょう。
相続後に新たな貸付資料が見つかる場合もあります。以前の協議書が何を対象とし、追加財産や債権をどう扱っているかを確認します。新しい財産が判明したときの考え方は次の記事で補足しています。
資料確認の進め方
対象の取引・費用と日付を整理
↓
原資料と未確認事項を分ける
↓
必要な権限・手続を相談
請求や裁判所の期限がある場合は、資料がそろう前に相談してください。


返済義務がある貸付けと、贈与として相続分の調整を検討する特別受益は、同じものではありません。多額の援助だったという理由だけで、貸付金の返還と特別受益の持戻しを重ねて計算しないようにします。元の取引が何だったかを先に整理する必要があります。
返済期限の定めがあるか、期限前に一括返済を求められているか、利息や遅延損害金の合意があるかを確認します。相続開始を理由に契約条件が当然に変わるとは限りません。親との約束を資料から整理し、請求された内容との差を把握することが、話合いの出発点になります。
免除の説明があるときも、対象とされた債務や金額を確かめます。別の借入れについての発言を今回の貸付けへ流用せず、いつのどの連絡が根拠なのかを明らかにしてください。
他の遺産の取得額と合わせて精算する場合は、誰のどの債権について、いくらを、いつ、どこへ支払うかを書面に残します。「相続で精算済み」とだけ書くと、残債や利息、未判明の貸付けまで解決したのか分からなくなります。分割払いや免除を含む案は、関係者の権利と税務への影響も確認しましょう。
家族内で作った分割案が、債権を担保に取った第三者や差押債権者にもそのまま通用するとは限りません。権利関係が複雑な場合には、署名や支払いの前に専門家に案を示し、必要な当事者がそろっているかを確認してください。

借りた側が相続人になる場合も、返済期日、消滅時効、これまでの支払いや債務承認などの確認が必要です。相続が始まったことで全ての期限が一から始まるとは考えず、契約日と返済経過を整理します。請求書や裁判所の書類が届いた場合は、受領日と回答期限も記録します。
借用書、通帳、返済表、親との連絡、遺言、相続関係の戸籍、作成済みの協議書を持参します。資料が不足していても、何が不明かをメモすれば相談できます。借入れ自体を認めるか、金額だけを争うかで対応も変わるため、返答を急がず法的な位置付けを確認しましょう。
初回相談では、返済の継続方法と遺産分割の進め方を分けて質問すると整理しやすくなります。相続人間の感情的な不公平感と、返す義務のある金額も区別してください。相談準備の具体的な方法は次の記事をご覧ください。


親子間の金銭移動は、貸付け、贈与、立替金の返還などが混在しやすいものです。相続の際は、名称だけで判断せず、約束の内容と返済経過を資料で確認しましょう。借主も相続人だから全額が消える、遺産から自動で差し引けると考えず、権利を承継する人と精算の効果を整理してから合意することが大切です。
全額が当然になくなるわけではありません。貸金債権の承継、自分の承継部分の混同、他の相続人の権利を分けて確認します。
書面の有無だけでは決まりません。送金時の合意、返済記録、当事者のやり取り等を確認します。
一方的な処理は避けましょう。債権者、金額、支払方法と合意の必要性を確認し、精算の内容を書面に残します。
異なります。返済義務のある貸付けか贈与かを確認し、同じ金銭を二重に計上しないよう整理します。
親からの借入れが残る相続では、貸付けの事実、返済残額、債権を承継する人の順に確認します。自分の承継部分と他の相続人の権利を分け、贈与としての特別受益とも混同しないことが大切です。契約と支払いの記録をそろえ、合意する精算の範囲を明確にしましょう。

親からの借入れと遺産の精算でお困りの方は、借用書や返済記録をお手元に、弁護士法人ニューステージへご相談ください。