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親の死亡後、遺産分割前に兄弟が預金を処分した場合は、出金の時期、処分した人、使途を確認します。民法906条の2では、一定の同意により処分済み財産を分割時に存在するものとみなせます。ただし自動で返金される制度ではなく、生前の出金とも分けて考える必要があります。
通帳を確認すると、親が亡くなった後に大きな出金が見つかることがあります。「もう口座にないから分けられない」と言われても、直ちに諦める必要はありません。一方、出金だけで兄弟の不正と決めつけることも避けましょう。この記事では、相続開始後の預金処分に絞り、分割での扱いと資料の確認順序を整理します。
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預金の凍結や銀行の相続手続きを扱う補足動画です。死亡後の処分と民法906条の2の判断は本文をご確認ください。銀行への死亡連絡を遅らせ、凍結前に出金することを勧めるものではありません。出金の権限や他の相続人の権利、相続放棄への影響を確認する必要があります。また、家庭裁判所を経ずに利用できる民法909条の2の払戻し制度もあり、金額上限等の条件があります。葬儀費用等が当然に全額控除されるわけではありません。

民法906条の2が問題になるのは、遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場面です。親が生きている間の使い込み、分割が終わった後の送金とは整理が異なります。死亡日、取引日、協議の成立日を並べ、どの段階の取引かを確認することから始めます。
取引履歴を請求する際は、死亡前後を連続して確認できる期間を検討します。死亡時の残高証明だけでは、その後の資金移動は分かりません。金融機関名、支店名、口座の種類を整理し、必要な本人確認や相続関係の資料は窓口の案内に従って準備してください。
死亡時の残高と、その後の取引履歴を対応させてください。残高が減っていても、引き出した人や支払先までは通帳だけで分からないことがあります。出金日、金額、振込先、取引方法を一覧にし、判明している事実と未確認事項を区別します。
同じ日付の出金と支払いが直ちに同じお金とは限りません。親の入院費を支払ったという説明があるなら、請求書、領収書、支払日を照合します。資料の読み方や事実と推測を分ける考え方は、次の記事も参考になります。


遺産に属していた財産が分割前に処分されても、共同相続人全員の同意により、分割時に遺産として存在するものとみなすことができます。共同相続人が処分したときは、その処分をした相続人の同意は不要です。つまり、処分した人以外の共同相続人全員の同意が重要になります。
例えば、共同相続人が三人で、一人による処分が確認された場合、その人以外の二人の同意を確認します。一人の申出だけで全ての条件を満たすわけではありません。対象の財産と金額についても認識をそろえ、何に同意したかを記録しておくことが大切です。
「兄弟の誰かが引き出したはず」という段階では、処分した人の同意を不要とする前提も十分に確認できていません。口座の管理状況、取引資料、本人の説明を整理し、誰のどの行為を対象にするかを明確にしましょう。
この規定は、2019年7月1日以後に開始した相続に適用されます。基準は原則として親が亡くなった日であり、出金日が同日以後というだけで適用されるわけではありません。古い相続や複数人による処分では、適用関係も含めて相談してください。

処分済み財産を存在するものとみなすことは、分割の中で公平な清算を考えるための仕組みです。この規定だけで銀行が預金を戻したり、処分者から直ちに現金を取り戻せたりするわけではありません。残っている財産、処分額、各人の取得額を踏まえ、実際の精算方法を検討します。
分割案を作るときは、現に残る口座の残高、対象とする処分額、各人が既に受け取った額を別の欄にします。計算上の取り分と、これから実際に渡す現金を分けて書くと、数字の重なりや不足を確認しやすくなります。不明な金額は未確認と表示しましょう。
既に返金された金額や、他の合意で精算された金額がある場合は、その記録も出してください。同じ出金を、残存預金と処分済み財産の両方に数えたり、返還と分割の双方で重ねて回収したりしないよう整理します。
不当利得や損害賠償等の返還請求を検討すべき場合もありますが、その要件、相手、手続は別途確認が必要です。遺産が残っていない場合も含め、906条の2を使えば必ず全額回収できると考えず、見通しを弁護士に確認しましょう。
資料確認の進め方
対象の取引・費用と日付を整理
↓
原資料と未確認事項を分ける
↓
必要な権限・手続を相談
請求や裁判所の期限がある場合は、資料がそろう前に相談してください。

葬儀、医療費、借入金の返済などに使ったという説明があっても、全額を当然に正当な支出と扱うことはできません。反対に、死亡後の出金だから全てが私的流用とも限りません。支払いの相手、必要性、依頼や同意、費用を負担すべき人を個別に確認します。
費用の立替えを主張する人には、対象の請求書と支払先を示してもらいます。兄弟の説明をまとめる際も、本人が述べた内容と、自分が資料から確認した内容を区別してください。共有する一覧には作成日を付け、追加資料による修正の履歴を残します。
費目ごとの金額と証拠をそろえ、争っていない部分と説明が必要な部分を分けます。領収書がない支払いは、その理由や代わりの資料の有無を記載し、推測だけで金額を埋めないようにしてください。
協議後に別の口座や新しい資料が見つかったときは、以前の合意がどの財産を対象としていたかも確認します。後から判明した財産と協議の関係については、次の記事で扱っています。


出金資料を示しても説明が得られない、処分した人や金額が争われるなどの場合は、当事者だけで結論を急がず相談しましょう。遺産分割の話合い、家庭裁判所の調停、返還請求等のどれを検討するかは、争点と証拠によって変わります。
通帳や印鑑を返してもらえない場合も、相手の口座に無断でアクセスするなどの調査は避けてください。適法に取得できる記録と、弁護士を通じて確認すべき事項を分けます。相手に返答を求める文面も、断定的な非難より、具体的な取引と資料を示す形で整理しましょう。
死亡日、出金日、金額、管理していた人、使途の説明、返金の有無を時系列にまとめます。通帳の一部だけでなく、前後の履歴や相手から受け取った連絡も保管してください。原本を手放すときは写しを残し、提出先を記録します。
請求の期限や証拠の取得に不安があるときは、全ての資料がそろうのを待たず相談してください。初回相談で何を用意し、何を質問するかは、次の記事も参考になります。


死亡後の出金が見つかったときは、まず取引の時期、処分した人、支払いの根拠を切り分けることが大切です。民法906条の2は分割での清算を考える制度であり、返金を自動的に実現するものではありません。同意の範囲と残っている財産を確認し、返還請求との重複が生じない方法を検討しましょう。
相続開始後、分割前の遺産処分を扱う規定です。生前の取引は、権限や使途、返還請求等を別に検討します。
共同相続人による処分では、その処分者の同意は不要ですが、それ以外の共同相続人全員の同意が必要です。
自動返金の制度ではありません。分割の計算と実際の精算方法、別の返還請求の要否を分けて検討します。
出金日だけでは決まりません。原則として2019年7月1日以後に開始した相続に適用されます。
死亡後の預金処分は、死亡日と取引日、処分者、使途を確認してから検討します。906条の2の同意の条件と適用時期を押さえ、分割の計算と返還請求を区別しましょう。返金済みの額も含めて資料を共有し、二重計上のない精算につなげることが大切です。

死亡後の預金処分や兄弟間の精算でお困りの方は、取引履歴と使途の資料をお手元に、弁護士法人ニューステージへご相談ください。