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相続でよくある「分けられない財産」の処理方法とは?

相続では、遺産を相続人で公平に分割することが求められます。しかし、すべての財産が簡単に分割できるわけではありません。特に、不動産や美術品、家業に使う設備などは「分けられない財産」として、物理的な分割が難しかったり、価値を減少させてしまったりするため、相続人間で問題になることがあります。この記事では、そういった「分けられない財産」をどのように処理すべきか、その方法や注意点について詳しく解説します。

目次

1. 分けられない財産とは?

「分けられない財産」とは、物理的に分割することが難しい、または分割することで価値が著しく減少してしまう財産を指します。具体的な例を見てみましょう。

  • 不動産:土地や建物は分割しにくい典型的な財産です。土地を分筆して分けようとすれば、その価値が低下することがあるため、相続人全員で共有するか、一部の相続人が相続して、他の相続人には代償金を支払うなど、他の方法で分配する必要があります。
  • 自動車や宝石:自動車は1台しかなく、物理的に分割することができません。同様に、宝石や貴金属も一つの品としての価値が高いため、分割することが難しいです。
  • 美術品や骨董品:これらの財産は、希少性や保存状態が価値の大部分を占めており、分割することは難しい場合が多いと言えます。
  • 会社の株式:特に非上場会社の株式は、売却が難しく、価値の評価も困難なため、分割が複雑です。また、株式は会社に対する支配権ですから、これが分散されてしまうと会社経営に影響を与える可能性があるため、慎重な対応が求められます。

2. 分けられない財産の処理方法

分けられない財産を相続する際には、いくつかの方法で処理を行います。相続人全員で話し合い、どの方法を選択するかを決めることが重要です。

2.1 現物分割(共有)

現物分割は、財産そのものを分割せずに、相続人全員で共有財産とする方法です。たとえば、不動産を相続人全員で持分割合に応じて所有する形です。

  • メリット:財産を手放すことなく、相続人全員がその財産の一部を持ち続けることができます。不動産の場合、売却せずに持ち続けることができるため、先祖代々の土地を守りたい場合に有効です。
  • デメリット:共有することで、管理や利用に関する意見の違いが生じやすくなります。たとえば、相続人の一人が不動産を売りたいと思っても、全員の同意がないと売却できません。また、共有財産の管理費用(固定資産税や維持費)をどのように分担するかも事前に取り決めておく必要があります。

2.2 換価分割

換価分割は、分けられない財産を売却し、その売却代金を相続人間で分配する方法です。

  • メリット:現金に換えることで、相続人全員が公平に分割を受けることができます。特に不動産など大きな価値のあるものでも、売却によって簡単に分割ができるため、相続人間での不公平感が少なくなります。
  • デメリット:思ったより高く売れない場合や、売却までに時間がかかることがあります。また、売却によって譲渡所得税が発生する可能性もあり、最終的な手取り額が減少することがあります。さらに、売却に感情的な抵抗がある相続人がいる場合、合意が難しくなることがあります。

2.3 代償分割

代償分割は、一人の相続人が分けられない財産を取得し、他の相続人に対してその価値に相当する代償金を支払う方法です。

  • メリット:特定の相続人が財産を取得し、他の相続人も公平に金銭的な利益を得ることができます。特に、家業や自宅など特定の相続人がどうしてもその財産を引き継ぎたい場合に有効です。
  • デメリット:代償金を支払うために、その相続人に十分な資力が必要です。相続人に資金がない場合、ローンを組む必要があるかもしれません。また、財産の評価額を正確に算出するために、専門家による査定が必要になります。

3. 各方法の選択時の注意点

それぞれの方法には特有のメリットとデメリットがあり、選択に際しては以下の点に注意が必要です。

3.1 現物分割(共有)

  • 管理費用の問題:共有する財産にかかる維持費や税金をどのように分担するか、事前に明確に取り決める必要があります。特に、不動産などの場合、固定資産税や修繕費用の負担が問題になります。
  • 意見の相違:共有する相続人が複数いる場合、財産の利用や処分について全員の同意が必要になることがあります。意見が合わないと、売却や利用に関する決定が遅れる可能性があります。

3.2 換価分割

  • 税金の問題:財産を売却した際、譲渡所得が発生すると、譲渡所得税が課せられます。このため、売却額から税金を引いた後の手取り金額が予想より少なくなる可能性があります。
  • 感情的な問題:相続人の中には、先祖代々の土地や家を手放すことに強い抵抗を持つ人もいるかもしれません。この場合、売却の合意を得るのが難しくなります。

3.3 代償分割

  • 財産の正確な評価:公平に代償金を支払うためには、財産の正確な評価が必要です。評価を誤ると、不公平感が生じ、トラブルの原因になる可能性があります。第三者の専門家による査定を受けることが推奨されます。
  • 代償金の支払い能力:代償分割を選択する場合、代償金を支払う相続人がその資金をどのように調達するかが課題です。資金が足りない場合の処理方法は様々な方法があります。

4. スムーズな遺産分割のために

分けられない財産の相続は、感情的にも金銭的にも複雑な問題が絡むため、スムーズに解決するためには相続人全員の協議と合意が不可欠です。以下のポイントを押さえておくことで、スムーズな遺産分割が期待できます。

  • 早めの話し合い:相続が発生する前に、家族間で財産の分割について話し合っておくことが有効です。事前に希望を確認し、適切な分割方法を話し合うことで、相続後のトラブルを防ぐことができます。
  • 専門家の助言を活用する:弁護士や税理士、不動産鑑定士などの専門家に相談することで、感情や対立が絡む場面でも客観的で公正な判断を行う手助けを受けることができます。複雑な遺産分割の場合、専門家の助言が特に重要です。
  • 遺言書の作成:被相続人が生前に遺言書を作成し、分割方法を明確に指示しておくことで、相続人間の争いを防ぐことができます。遺言書がない場合、相続人間の意見の相違が発生することが多いため、遺言書を準備しておくことが推奨されます。

5. まとめ

分けられない財産の相続は、物理的な制約や感情的な問題から複雑になりがちですが、現物分割、換価分割、代償分割といった方法を正しく理解し、相続人間で十分に話し合うことで、円満な遺産分割が可能となります。相続に関する不安や疑問がある場合は、早めに専門家に相談し、適切なサポートを受けることが大切です。適切な対策を講じることで、大切な家族の財産を次世代へと確実に引き継ぐことができます。

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