目次
【結論】
「生前贈与はバレない」は誤り。相続や名義預金の精査、金融機関や不動産の名義変更、税務データの突合で高確率で把握されます。特に死亡後の相続税申告時や税務調査で、過去の入出金・名義預金・不動産取得資金の流れは重点確認事項。正攻法は、要件を満たした贈与(契約・受領・管理の実体)と適切な申告・記録保存です。
第1章|税務署が生前贈与を把握できる主なルート
- 相続税申告・税務調査
- 相続税の申告書には「相続開始前3年(現行制度で段階的拡大予定)の贈与財産」の記載欄あり。調査では通帳・取引履歴を精査。
- 金融機関・不動産の名義変更データ
- 高額出金や名義変更、不動産の登記情報(登記原因・資金の流れ)は当局が把握可能。
- マイナンバーと法定調書
- 生命保険金、上場株の特定口座、利子・配当、贈与税の申告状況などがデータ連携。
- 反面調査
- 受贈者側(子・孫)の口座や勤め先、住宅ローン控除資料から、資金の原資を照会されることがある。
第2章|調査・指摘されやすい具体ケース
- 名義預金
- 子や配偶者名義だが、資金拠出・通帳印管理が親。実質は親の財産として相続財産に算入。
- 住宅取得資金・教育資金の援助
- まとまった振込があるのに非課税特例の申告がない、または要件外(期限・年齢・契約時期のズレ)。
- 死亡直前の大口移動(駆け込み贈与)
- 看取り前後の高額出金・名義変更は「相続対策目的」と見られやすい。
- 現金手渡しを繰り返し
- ATM出金→家族口座入金の往復がパターン化。メモもなく用途不明。
- 毎年同額振込なのに契約・受領の実体がない
- 「定期金贈与」とみなされ、一括贈与と評価されるリスク。
- 無申告の高額贈与(年110万円超)
- 贈与税申告がない、または受贈者の収入・貯蓄と整合しない残高の増え方。
第3章|税務上の基本ルール(ここを外すとアウト)
- 暦年贈与
- 年110万円基礎控除。超える分は贈与税申告が原則必要。
- 相続開始前の加算
- 相続開始前3年内の贈与は原則相続財産に加算(直系尊属→子など)。制度改正で加算期間の拡大が段階的に進む方向のため、最新要件は税理士に確認。
- 特例の適用要件
- 住宅取得等資金の非課税、教育資金一括贈与、結婚子育て資金の非課税は、それぞれ受贈者の年齢・契約締結時期・支払用途・期限・口座管理など厳密な要件と申告が必要。
- 贈与の成立要件
- 贈与意思(贈与契約)、受贈者の受領、資金の支配移転(通帳・カード・印の管理)。これが欠けると名義預金・擬制贈与の指摘対象。
第4章|「バレない対策」ではなく「正しく贈与する手順」
- 手順(暦年贈与の基本)
- 年間スケジュールを策定(贈与額・回数・時期)
- 贈与契約書を作成(毎年でも可、電子署名も可)
- 受贈者名義口座へ振込(現金手渡しは避ける)
- 通帳・カードは受贈者が管理(親が保管しない)
- 年110万円超は贈与税申告(毎年の帳票を保存)
- 家族で情報共有(将来の相続時に説明できる状態に)
- 特例贈与の場合
- 住宅取得等資金非課税:対象年の契約・入居期限、工事証明書、振込証跡、税務申告をセットで。
- 教育資金・結婚子育て資金:信託口座や専用口座を使い、領収書保管・期限内残額の課税に注意。
第5章|相続(死亡)後に疑われた場合の対応
- まず事実整理
- 被相続人・受贈者の口座履歴(少なくとも5年分)、贈与契約・メモ、通帳管理者、出金の使途を時系列化。
- 名義預金の線引き
- 管理・受領の実体が薄いものは遺産に算入。真正な贈与は除外。ただし特別受益として持戻しの合意調整は現実的。
- 税務対応
- 相続税申告で適切に反映。税務調査では整合資料を提示。必要なら修正申告・更正の請求を検討。
第6章|やってはいけないNG行為
- 死亡前に口座を空にして現金手渡し(履歴・使途不明)
- 親が子名義口座の通帳・カード・印鑑を一括管理(名義預金化)
- 住宅資金援助を現金で渡すだけ(特例申告・証憑なし)
- 「毎年110万円きっちり」を機械的に振込(契約・受領なし)
- 税務署からの照会を無視・放置
第7章|数値つき事例(イメージ)
- 事例:子へ年150万円×5年、申告なし、通帳・カードは親保管
- 指摘:名義預金+贈与税無申告の可能性。相続時に全額遺産算入+加算税・延滞税リスク
- 事例:住宅資金800万円を振込、非課税特例の申告漏れ
- 指摘:非課税適用不可→贈与税課税。契約時期ズレのため救済不可
- 事例:教育資金一括贈与1,000万円(信託口座)、領収書保管不備
- 指摘:使途確認で一部否認→課税対象へ。残額の期限後残存も課税
第8章|今日からできる予防チェックリスト
- 贈与の目的・金額・年間計画をメモ化した
- 贈与契約書の雛形を準備した(毎年更新)
- 受贈者名義口座を開設し、受贈者が管理している
- 年110万円超の贈与は申告準備を進めている
- 住宅・教育・結婚子育ての特例は要件と期限を確認した
- 家族で贈与・名義預金の線引きを共有した
- 通帳・領収書・メール等の証拠をまとめた
第9章|FAQ
Q1. 現金手渡しでも贈与は成立する?
A. 形式上はあり得るが、証拠化が難しく否認リスクが高い。振込+契約書が安全。
Q2. 相続開始前3年の贈与は全部戻る?
A. 原則加算対象(直系間等)。ただし制度改正の経過措置・対象範囲に留意し、最新要件は税理士確認。
Q3. 夫婦間の贈与(居住用不動産の配偶者控除)は?
A. 要件を満たせば2,000万円までの特例あり。持分移転や登記・期限の要件に注意。
Q4. すでに怪しい名義預金がある。今からできる?
A. 生前なら贈与の実体化(管理移転・書面化)か解消。相続発生後は履歴開示→遺産算入のうえ公平調整。
第10章|専門家コメント(弁護士法人ニューステージ)
「“バレない”前提の贈与は、相続時に高確率で露見します。契約・受領・管理の3点を揃え、記録を残すのが唯一の予防策です。」
── 弁護士 下元 高文
「住宅・教育など特例は要件が細かい。税務・法務を横断して設計すれば、ムダな課税や争いを避けられます。」
── 弁護士 三浦 宏太
第11章|動画 生前贈与はバレないは本当?
生前贈与はバレないは本当?
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